2020年3月6日金曜日

劇場版SHIROBAKOを見てきました ※ネタバレ注意

こんばんは、京大アニメ研究会です。
国立大学の前期日程も終わり、弊学の合格発表日も近づいてきました。受験生の皆さんは中期や後期の試験を受ける方もいるかもしれません。まぁ受験生でこのブログを見ている人がいるかどうかは分かりませんが……。
今回はタイトルにもあるとおり、中の人が見てきた『劇場版SHIROBAKO』の感想をつらつらと書いていきたいと思います。実質個人ブログじゃないかとお叱りを受けそうですが、今までもアニ研なのに洋画の感想とか牡蠣食べた感想とかわりと好き放題やってたみたいなので大目に見ていただきたいと思います……。

ということでいつもどおり感想は中の人の個人的なものであり、会員の総意ではないことにご留意ください。

また、迷ったのですが、感想を書く以上ネタバレは避けられそうにないので、ネタバレありというか、劇場版を見た人が読む前提で書きます。未見の方は是非劇場でご覧いただきたいと思います(社会情勢的に難しいところもあるとは思いますが……)。
ちなみに中の人は地元で見たんですが、平日の真っ昼間だったこともあってか、観客は自分を入れて5,6人でした……。まぁうちが田舎なだけかもしれませんが。

画像

特典色紙は井口さん、矢野さん、ゴスロリ様でした。ゴスロリ様は今回ジャージでランニングしてることが発覚しましたねw


いつか必ず何としてでもアニメーション作品を一緒に作ろうと、ひょうたん屋のドーナツで誓いを立てた上山高校アニメーション同好会の5人。卒業後それぞれがそれぞれの場所でアニメーション制作に携わっていく。あおいは「えくそだすっ!」「第三飛行少女隊」の制作を経て、少しずつ夢へ近づきつつ、徐々に自分の本当にやりたいことを考え始めていた。あれから、4年。日々の仕事に葛藤しながら過ごしていたあおいは朝礼後、渡辺に呼ばれ新企画の劇場用アニメーションを任されることになる。しかし、この企画には思わぬ落とし穴があった。今の会社の状況で劇場用アニメーションを進行できるのか?不安がよぎるあおい・・・新たな仲間・宮井 楓やムサニメンバーと協力し、完成に向けて動き出す。果たして、劇場版の納品は間に合うのか――!?(劇場版『SHIROBAKO』公式サイトより)

全体的な感想として、非常に満足のいくものでした。もともとテレビシリーズの評価が高いこともあり、それなりの期待(ハードルと言い換えても良いですが)をもっていきましたが、十分その期待に応えており、さらに期待を超える部分もある作品だったと思います。

基本的なストーリーラインが王道的なものであった一方、演出は印象的……というかやりたい放題やってたな……という印象です。序盤の突然のみゃーもりミュージカルや中盤の「なめろうマーチ」、終盤の忍者バトルなどにポカンとした人も多いのではないでしょうか。現実世界とフィクション世界を融合させる演出はテレビシリーズでもありましたが、今回のはより激しかったと思います。
特にミュージカルシーンは唐突に始まるので、笑えばいいのか突っ込めば良いのか初め分かりませんでしたが、「えくそだすっ!」や「第三飛行少女隊」、「山はりねずみあんデスチャッキー」のキャラ達とみゃーもりが口々に「アニメーションを作りましょう」と繰り返すのを聞くと、謎の感動というか言いようのない圧のようなものを感じました。ただ、あの多種多様なキャラ達が一斉にエンゼル体操する様は余りにもシュールでしたが……(特にウサギ跳び)。
あとはとにかく笑えるシーンがいっぱいでした。序盤がSHIROBAKOにしては暗い展開(最初のみんなで集まってオンエア見るのが幻覚?だったところとか、予想はしてましたが結構心にきました)だった分、中盤からはギャグシーン満載でした。宮井さんと飲み明かすみゃーもり、ヌルヌル動く本田さん、モンブランに釣られる木下監督、矢野さんに「ハウス」させられる木下監督、犬と唐揚げとあともう一つ何か(忘れてしまった)に釣られて絵コンテを仕上げる木下監督……ほとんど監督でしたね……。

ストーリーについて、
ムサニどん底→かつての仲間が集結→悪徳制作会社を論破→完成!
という王道展開でしたが、テレビシリーズで出たキャラをほぼ全て拾ってたのがさすがでしたね。菅野監督(庵野監督がモデル)がワンカットだけ出てきたときは感動しました。あと印象的なところで言えば木佐さん(自転車の人)とか池谷さん(釣りの人)とかは割とがっつり登場してました。元ムサニメンバーで言えば遠藤さんは今回序盤のメイン張ってましたね。テレビシリーズでも思ったんですが、SHIROBAKOってみゃーもりたちドーナツ娘の物語というより武蔵野アニメーションの物語という感じがします。もちろんみゃーもりが主人公なんですが、それ以外のドーナツ娘達と同じくらい他のサブキャラクターのエピソードもしっかり描かれてるんですよね。
1つ不満な点を上げるとすれば(これは自分の理解力不足な気もしますが)、テーマの掘り下げが浅く感じられたことです。監督の書いたパンフの前書きによれば、今回のテーマはざっくり「仕事でヤなことがあってやけっぱちになりそうなときどうすればいいのか」ということだそうです。これは作中の物語で言えばタイマス事変とかげ~ぺ~う~の件を受けて、みゃーもりはどうするのか、ということになると思うんですが、それに対する答えは、序盤の丸川元社長の「後ろを振り返ってる暇はない。前に前に君たちは進まなきゃ(ニュアンス)」で早々と出てしまっています。終盤の劇中劇に出てくる「奇跡なんてない。自分でつかまなくちゃ(ニュアンス)」という台詞が、作品自体のテーマとリンクしているのも構造として綺麗ではあるんですが、序盤で出た答えの繰り返し、言い換え表現にとどまってるように思われました。

作画について、さすがに乱れているところが一切ない、と言うことはなかったですが、致命的な違和感を感じるところはありませんでしたし、上で述べたような演出上鍵となるようなシーンや、ラストの劇中劇のシーンなどは明らかに作画のクオリティが上がっているように感じられました。あと地味に感心したのは恐らく全部のシーンでモブがきちんと動いていたこと。動いてなかったところでどうってことはないのですが細かい部分まで気を配っているんだなぁと。

これくらいで書きたいことは大体書いたと思います。また何かあれば追記します。小ネタが多い作品なので、何度見返しても新しい発見がありそうです。円盤買おうかな……。