2020年7月30日木曜日

2020年春アニメ振り返り

こんばんは、京大アニメ研究会です。
遅くなりましたが、今回は2020年春に放送されたアニメを視聴した会員の多かったものを中心に振り返っていきたいと思います。今クールはコロナ禍の影響で多くのアニメが放送延期を余儀なくされる受難のクールでしたが、それでも多くの良作に恵まれていたのではないかと思います。
なお、感想は基本的に中の人の個人的なもので、会員の総意とは限らないことをご了承下さい。

1.かくしごと

 自身が「漫画家」であることを主人公の父親が一人娘に隠そうとするギャグアニメです。「今期何か一つおすすめするアニメは?」と聞かれたら(滅多に聞かれることはありませんが)、中の人はこれを薦めると思います。おすすめしやすい理由として、「基本的にはギャグ漫画だが家族愛という普遍的なテーマをしっかりと描いている」ことと「原作ありで1クールで完結させている」ことがあります。作者の久米田康治は時事ネタとか風刺っぽいネタが得意な方なんですが、本作では風刺は割と薄めで(ないわけじゃないですが)万人におすすめしやすい作品だと思います。タイトルやキャラの名前の言葉遊びも魅力的です。以下ややネタバレにつき反転。正直バッドエンドも覚悟していたのですが(最終回Aパートのアイキャッチの絶望感は異常)、ハッピーエンドで終わって本当に良かった。OPが流れるタイミングも完璧で、思わず涙腺が緩みました。ネタバレここまで。

2.イエスタデイをうたって

 4人の男女の恋愛模様、人間関係を描いた青春群像劇。これについては率直に言って評価は分かれるところだと思います。終盤に関しては原作未読の中の人でも明らかに尺が足りないと感じました。中盤までの丁寧な心理描写とは打って変わって結論に向かって急いでいる感じがあり、あれよあれよという間に終わってしまった印象があります。「なんでハルはリクオのことが好きなんだっけ?」「なんでこいつらあんなにうじうじ悩んでたんだっけ?」と思ってしまいました。原作未読者の私見ですが、どうにも榀子の描写とハルの描写の釣り合いがとれていなかったように思います。しかしながら、良い意味でも悪い意味でもキャラクターたちに感情移入させられる空気感の作り方は非常に良かったです。また、主人公のリクオを演じられた小林親弘さんの内省的な演技も素晴らしかったと思います。


3.乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…

 タイトル通り、ゲームの中に転生してしまった主人公が国外追放か死かという破滅エンドを回避するため頑張る話です。「見ていて不快なキャラクターがいない」というのがヒットの一因かなぁと思います。本来キャラクターの好き嫌いと物語そのものに対する評価は別に下してしかるべきではないかと思いますが、主人公の正確や言動が不快だと、視聴自体がストレスになってしまうことも事実です。その点、本作は主人公のカタリナをはじめ、基本的に明るい善人ばかりで、見ていて気持ちの良い作品でした。物語上工夫が感じられたのは、終盤カタリナの前世が大きく絡んでくることです。異世界転生ものの多くは前世を切り捨ててしまっており、「転生」であることが物語上重要な意味を持つことは少ないと思いますが、本作は「前世」と「転生後」がきちんと地続きでつながっていることが示されており、感心しました。気になったのは、サブキャラたちはあくまで主人公を軸に集まっているため、サブキャラ同士の仲は決して良くないというか、疎遠な感じがしてしまいました。仕方ないことかも知れませんが、もう少し横のつながりがあったらなぁと感じました。1クールでよくまとまっていたと思いますが、2期も決まっているそうなので期待して待ちたいと思います。

4.かぐや様は告らせたい?〜天才たちの恋愛頭脳戦〜

 もはや中の人が付け加えるべきこともない気がしますが、天才の男女が互いに好きな相手に告白するよう仕向けようとする……という話だったはずです。原作既読勢ですが、やはりキャラが動いて声がつくとまた違った面白さがありますね。「今日あま」のエピソードなんかは画風が変わるわ謎挿入歌入るわでかなりパワーアップしてましたし。あと石上のエピソードのラストはかなり好きなので、あの演出を映像で見られたのは良かったですね。原作ストックは十二分にあるので、是非3期に来て欲しいところです。


5.八男って、それはないでしょう!

 貧乏貴族の八男に転生した主人公が成り上がっていく物語。なんでこんなに視聴者が多いんですか?貴族社会のしがらみとかめんどくささを描きたい作品なんだ、と気づくまでに時間がかかりました。そこを最初から意識してみればまた評価も変わったのかも知れませんが、どうもストーリーもバトルもキャラもいまいち魅力が感じられなかったです。作画も中盤崩れ気味でしたし。個人的にはピンク髪の食いしん坊の娘が一番好きだったのでもっと早く出てきて欲しかったですね。ただ、終盤に再登場する主人公の兄は杉田智和さんの怪演と顔芸が相まってかなり印象的でした。

6.波よ聞いてくれ

 ひょんなことからラジオパーソナリティになった主人公と、その周囲で起こる事件を描いていく作品。ラジオパートのノリにいまいちついて行けなかったのと、なまじリアリティーがある分細かい部分が気になってあまりのめり込めなかった部分はあります。しかし、主人公(の声優さん)のしゃべりの技術には素直にすごいな、となりますし、一つ一つのエピソードは非常に面白かったです。頭をからっぽにして笑いたいときに見るといいアニメかもしれません。また、最終話は実際の出来事(リンク先ネタバレ注意)とも絡めて主人公の成長を描き、完成度の高い一話になっていたと思います。麻藤さんがめちゃくちゃな印象しか無くてあんまり好きになれなかったのですが、最終話ではラジオに対する矜持が感じられてかっこよかったです。

7.グレイプニル

 異能バトル系アニメ。途中から普通にバトルが面白くなってきた分、謎のエロ要素がちょっと邪魔でした。エッチなシーン自体は別にあってもいいんですが、そこのパンチラ、いる?みたいな場面が多かった気がします。バトル自体は作画も良いですし、肉弾戦だけじゃなく力技で勝てない相手に知恵で勝つ話もあり、割と好みでした。ただ、終わり方は典型的な俺たたエンドなのが残念でした(原作が続いている以上仕方ないのですが)。

8.球詠

 きらら系タピオカ女子野球アニメ。PVの時点で作画が不安でしたが、まぁ作画に関しては擁護のしようがありません。画面に違和感を感じて一時停止したら両手とも左手だったときの衝撃は今でも忘れられません(しかも同じシーンが修正なしで翌週も流れた)。本作に関しては何故一週も放送延期しなかったのか逆に謎です。中の人があんまり野球に興味が無かったのと作画に気を取られてストーリーの方に意識を割けていなかったので今度先輩に原作を借りて読みたいと思います。

9.プリンセスコネクト!Re:Dive

 有名ソシャゲのアニメ化。ゲーム未プレイ勢ですが普通に楽しめました。未プレイ勢にとっては、言ってしまえば毎回30分かけて新キャラ紹介されてる感じなんですが、ギャグに極振りしてたのが上手くはたらいていたように思います。また演出とか雰囲気をわざと『このすば』に寄せて未プレイ勢にも入り込みやすくしたのかなーとか予想しました。本当のところは知りませんが。物語に関して言えば、根本的なところは何も解決してないし、伏線もほとんど回収されてないので2期をやって欲しいところではあります(まぁ運営的にはゲームやれって話なんでしょうが)。

10.プランダラ

 全話通してのピークは8話のラストシーンだったと思います。ジェイル中尉はかっこよかったんですがね……。2クールやったわりには普通に俺たたエンドだし、作画もヤバいし、ストーリーも過去に飛んだかと思えば特に何も成し遂げずに終わるし、相変わらずやたらエロは多いし……。ところどころ瞬間的に面白くなるシーンがないわけではないんですが、全体としては微妙でした。

11.その他

今期はやはり豊作だったのか、会員の視聴者が多いものに絞っても10本有りました。ここからは、視聴者の少なかったアニメ、個人的に取り上げておきたいアニメに触れておきたいと思います。

アルテ

 中世のフィレンツェで女主人公が画家になるために奮闘するアニメ。毎話毎話アルテの成長があって、そこは良かったんですが大きな印象を残すエピソードに欠けていたかな、と感じます。

神之塔 -Tower of God-

 前情報を一切知らずに見たこともあり、個人的には今期一番のダークホースでした。世界観の把握が結構大変なんですが、世界観自体も面白いし、ストーリーも先の読めない展開で飽きが来ないし、最終回でやっとヒロイン側の視点が明らかになる構成も良かったです。キャラデとか作画とかもめっちゃ好みだったので2期やって欲しいんですがどうなんですかね……。

社長、バトルの時間です!

 ソシャゲで割とよくある非常に薄いストーリーをそのままアニメにした感じで、作画が良い分なんだかもったいない作品でした。女性キャラは割と可愛かったんですが、魅力的だったかと言われるとうーん……。

とある科学の超電磁砲T

 ガチのマジで面白い。大覇星祭編は大好きなエピソードなのでアニメ化には感謝しかないですね。食蜂のヒロイン力が高すぎる

新サクラ大戦 the Animation

 一見さんお断りの気配を強く感じました。メインキャラっぽいのに全然焦点が当たらないキャラがいたり、どう見ても同一人物であることを隠す気の無いキャラを執拗に別キャラ扱いしたり、気になるところも多かったです。

継つぐもも

 実は1期見ないまま見てたんですが割と楽しめました。最初はお色気描写多めのバトルものという感じでそれもそれで良かったんですが(百合回とかすなおちゃん回とか)、終盤になるとバトル自体も熱くなり、まさか最終回でああ終わるとは……。3期があってほしいものです。

BNA ビー・エヌ・エー

 獣人系TRIGGER作品。ケモ系の作品増えましたね。最近は毎クール1本は必ずあるような気がします。獣人と人間という異なる種族の存在を軸に、差別とか生き方とかを絡めた話なんですが、ストーリーで魅せるには丁寧さが足りなかったし、熱さで攻めるには勢いが足りなかった、という印象です。決して駄作では無いんですが。

本好きの下克上 司書になるためには手段を選んでいられません

 よく考えたら2クール目全然本作ってなかった気がしますね。神官長(CV速水奨)が急に歌い出したのにはビビりましたね。話の作りは非常に丁寧で良かったと思います。3期も決まったようなので続きも見たいと思います。

LISTENERS リスナーズ

 中の人以外誰も見てないし、評判も決して良いとは言えないんですが終わってみると悪い作品ではなかったと思います。ややこしくてよくわからないストーリーと、ロボット同士がガチンコでバトルするというのが組み合わせとして悪かったように感じます。ただ、雰囲気は悪くなかったですし、音楽はとても良かったです。OPと毎週変わるEDはどれも名曲で、今でもプレイリストに入れてよく聞いてます。YouTubeで聞けるので曲だけでも是非聞いてみて下さい。音楽とかミュージシャンとかの小ネタが多いみたいなんでそこら辺が拾える人が見るともっと評価は上がるのかも知れません。

 春アニメを振り返ってきましたが、個人的には『放課後ていぼう日誌』が延期されたことで純粋な日常系がなくなってしまったのがとても残念でした。ストーリーがしっかりあるアニメもいいんですが、やはり箸休め的な心安まるアニメも欲しいところです。夏アニメも今のところ面白い作品が多いので、完走したらまた振り返りをあげたいと思います。